食の安全安心 日本と海外の違い

 

食の安全安心 について

 

日本ではおなじみの言葉、食の安全安心、海外ではどのように使われているかご存知ですか?

 

このことをご存知ない人も多いですが、海外で日本食品を売っていくのに非常の重要なポイントなので説明をしておきます。

 

日本では、食の安全安心、というか、食の安心安全というか、企業によって異なります。安全があって安心がある、安全第一、という企業さんは『食の安全安心』と使われ、安全は当たり前のことでその先にある安心を提供するんだ・・・という企業さんや、顧客の安心が第一!という企業さんが『食の安心安全』と使われる傾向があるようです。

 

食品安全は科学的な根拠を伴う話です。一般生菌数が10の何乗とかいう話ですね。一方食品の安心の話は心の話です。例えどんなに安全な食品であっても「私は心配です」と言われた瞬間に安心できない食品になってしまうという非常に理不尽な話です。そんな理不尽なことがまかり通るのは繊細な違いを意思表示できる日本語がある日本だけです。

 

 東京オリンピック開催で選手に農産物を提供したい・・・という農家さんが、提供を断られる・・・というニュースをNHKの朝7時のニュースでやっていました。(2017年10月31日)しかしオリンピックで使うにはGAPという第三者認証を受ける必要があります。日本で通用する顔の見える野菜はオリンピックには全く通用しない・・・という話です。

 

食の安心をアピールするのに一番使われる方法は、顔が見える・・・という方法です。農産物のお店に生産者さんのお写真が掲載されている・・・という日本ではおなじみの光景です。しかし、これって性善説の特殊な日本でしか行われていなくて、海外ではほとんど行われていません。

 

その理由は、食の安心という考え方にあります。食の安心を英語で言うとどうなるかご存知ですか?食の安全は、Food Safetyです。世界共通で使われる言葉です。食の安心には英単語がありません。中国語もありません。放心とかいて近い意味のようですが異なります。食の安心という言葉は日本にしか存在しないのです。そんな日本にしか通用しない概念を世界に売るときに使おうとする食品メーカーさんがいます。そもそも訳もできないのに、どうやって伝えるのでしょうか?

 

海外で通訳を使ってコミュニケーションを取ろうとする人は、最初から現地の人を馬鹿にしています。直接コミュニケーションを図ろうという意思表示を拒絶する・・・ということです。それで買ってもらうなんて虫が良すぎます。せめてコミュニケーションを取ろうとする姿勢だけでも示してから、通訳を付けるべきです。ただ、今日は自動翻訳機もあるので必要ないですね。

 

 ◆食の安全におけるISO22000の位置づけ

 

最近FSSC22000なる食品安全のグローバルスタンダートが日本でも普及しています。何故、ISO22000が普及せず、FSSC22000が普及するのかを説明しておきます。

食品安全といえがば、中国で発生した餃子事件をみなさん覚えていると思います。あの工場はISO22000を取得していました。当時は中国が世界で一番ISO22000取得工場の数が多かったのですが、先進国では全くISO22000の取得は進んでいませんでした。中国餃子事件のときも、食品安全のグローバルスタンダートを取得していなくて、ISO22000を取得していた工場で事件が発生した・・・・というふうに食品安全の専門家はみていました。

 

ISO22000には食品防御の発想がそもそもないため、意図的な毒物混入を未然に防ぐという発想を求められていないのです。GFSIが認める食費安全規格は意図的な毒物混入対策であるFood Defence(食品防御)が求められています。そんな性悪説に基づいた対策は日本で求められてきませんでしたが、海外の大企業では求められてきています。

食料危機の状態で求められる最低限の食品安全(Food Security)

通常求められる食品安全(Food Safety)

意図的な毒物対策である食品防御(Food Defence)

この3段階で食品安全対策を考えるのが世界の主流です。

食品防御の概念のないISO22000、ISO22000よりより具体的で深いことも求めたのがGFSIであり現地監査員への要求事項まで細かく求めるようになっています。ISO22000よりも要求事項が多い、GFSIが認める食品安全のグローバルスタンダードを世界の食品メーカー・飲食チェーン・小売業が求めているため世界ではFSSC22000のほうが普及しています。

 

 ◆食品安全の世界的な専門集団『GFSIについて』

 

世界最大の食の安全組織は間違いなくGFSIです。世界中の食品メーカーと小売業と飲食業と食品安全認証団体が1つの独立組織をTCGF-The consumer Goods Forum-の下で作り、活動しています。日本ではお馴染みになってきたFSSC22000はこのGFSIが食品安全のグローバル・スタンダードとして認め、米国のThe Coca-cola company が日本のボトラーさんGFSIが認めた食品安全規格の1つFSSC22000の認証取得を迫ったところから日本での普及がスタートました。

 

世界の大きな食品メーカーや飲食チェーンや小売業がどんどん食品安全のグローバルスタンダードの取得を進めています。PBの製造委託先には積極的に、通常の納品先にもどんどんGFSIが認めた食品安全規格、FSSC22000だけでなくIFSやSQFやGlobal GAPなどの取得を求めています。日本でFSSC22000が普及した理由は後ろにGFSIがいるからです。

 

そんな食品安全の世界的に組織GFSIに日本で初めて、そしてアジアでも初めて技術委員に就任したのが日本食品を世界で売る会のチーフコンサルタントです。そして、食の安全安心の世界の感覚と日本の感覚の違いを世界の食品安全の専門家たちと話してきてわかったことを説明しました。