執筆・連載情報④


華人を知っておく①

食品新聞連載(4)

2019年12月9日掲載 1面です。


 

 書き下ろし原稿は下記からご確認ください。


 アジアでビジネスをすると華人を理解する必要がある。中華人民共和国の方だけでなく世界には多くの中国系の方がいる。中国系の方を総称すると、英語ではCHINESEとなる。日本語では中国系とか華人という言い方になるが、華人という言葉と華僑という言葉は意味が異なる。華僑と華人という言葉の違いを理解しておかないと知らずに痛い目に合う場合があるので注意が必要である。

 

私の友人にマレーシアの大手文具ディストリビューターの社長がいる。彼は1984年にマレーシアのジャスコ1号店で文具の棚1本を売上仕入条件で商品供給するために脱サラした。そしてその企業は2000年にはイオンマレーシアの衣食住全体の取扱額で並み居る大手日系企業を押さえTOP10に入る会社にまで成長した。

 

その彼は1990年代に中国で多くの文具をOEM製造しマレーシアに輸入して販売していた。当時から彼が何度も言っていたのが華人との付き合い方の重要性であり、華人と華僑の違いである。

 

彼は華人であって華僑ではない。華僑と言われることを非常に嫌がる。そんな華人経営者が多いとも言っていた。

 

日本から売り込みに来たメーカーと商談をした後の食事で起こったことを話をしてくれた。日本からきたメーカーの経営者のことを「彼は何をしにマレーシアまでやってきたんだ?商品を売り込みに来たのではないのか?それで彼は何度も華僑・華僑と話していた。日本語でカキョウとは華僑のことだと分かっている。私は華僑ではない。彼は私を華僑だと思っているのか?そんなことさえ知らずに海外まで商品を売りに来たのか?その程度の知識もなく、相手を不愉快にする人間を私は全く信用しない。彼が私の顧客であり売先ならこんなことは言わない。彼は私に商品を売りにきたのではないのか?そしてそんなことさえ知らないのか?」

 

彼によると会食の雰囲気は非常に良かったそうだが、その日本のメーカーの経営者はその日以降私の友人である文具ディストリビューターの社長と一切連絡が取れなくなり商談は失敗した。

 

そんな失礼な話があることはよく聞いていたそうだが、まさか自分がそんな目に合うとは思わなかったと言っていた。

 

華僑ではないのに、華僑と勘違いをされ、何度も華僑と言われたことが耐えられなかったのである。

 

華僑の意味は中国共産党政府が定義している。「中国大陸・台湾・香港・マカオ以外の国家・地域に移住しながらも、中国の国籍を持つ漢民族」を指す呼称である。これが華僑の定義である。マレーシアで生まれ50年住んである彼は華人であり華僑ではない。出稼ぎ労働者というニュアンスで言われていると感じてとても嫌な気持ちになったのである。

 

私が日本人は中国大陸でよく騙されるという話をしたとき、彼は日本人の間違いを教えてくれた。中国人は関係(グワンシー)を非常に重視する。まず10回食事をするまで仕事の細かい話はしない。そして相手が自分を信用してから仕事の話をする。

 

それが華人の基本であると教えてくれた。相手が自分を信用したがどうかは、「相手の家に訪問して家族を紹介してくれた」というのが彼の基準である。家族ぐるみの付き合いなしで仕事の話をしようするから失敗をする。それが彼の教えだった。

 

そんな彼が非常に重要なこととして覚えておいた方が良いと言っていたことは『華人が共通して大切にする3つ』ということだった。

 

「華人が大切にするのは皆同じだ。」と言う彼が教えてくれた1位は『親』だった。華人は親を大切にする。2位は『家族』。華人は家族を大切にする。3位は『親族』。華人は親族を大切にする。そして「4位は何か知っているか?」と聞いてきた。そして「4位はラオパンヤオ(老朋友)だ。」そう言い「華人は日本人と異なり性善説で生きてはいない。騙し騙されることが非常に多い。そんな社会でどうやって信頼できる人を見つけるのか。それが、ファミリーであり、老朋友なのだ。仲が良いという話ではなく、長期間かけて築いてきた信頼関係があるから信用でき友になれる。」ということだった。

 

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