何を海外に売るか真剣に検討する

 

何を海外に売ればいいのか?

 

「海外に何を売る?」

「そんなの自社の商品だろ?」

 

そう思われるでしょうが、少しだけお付き合いください。

 何を売る、間違っているから輸出が上手くいかない食品メーカーさんが多いです。

 

ほとんどの人が海外に輸出を考える時に何を売るかというと、

考え方は2つあります。

 

(1)日本で売っている商品をそのまま海外に売り付ける

(2)輸出する商品を海外仕様商品として作り込んでから輸出する

 

 この2つです。

 

大きな落とし穴にはまる人のほとんどは

(1)日本で売っている商品をそのまま海外に売り付ける

と考えて海外に売ろうとしている人です。

 

海外の方は、日本語は読めないのです。

中華人民共和国の人は、簡体字が読め、それ以外の国で活躍している華人の方は、繁体字が読めますが平仮名もカタカナも読めないので、日本語のパッケージはほとんど読めません。

 

華人以外の方は、漢字も全く理解できません。

日本語で書いてあることが分からないのです。

 

それを理解してからあなたが輸出しようとしている商品を確認してみて下さい。

その商品いったいそもそも何なのか理解できますか?

 パッケージに書いてある日本語のこだわりなんて伝わると思いますか?

海外の方が商品に書いてあることを理解できない状態で、売れると思いますか?

 

実は、海外パッケージを作ったり、輸出用のシールを貼ったりする必要があるのです。

そして海外で売っている日本の商品の中には、日本で全く存在していない商品がたくさんあります。

そうです!輸出用パッケージ商品です。

 

日本の中小の会社が、海外に積極的に販路を広げて成功されているのは「海外パッケージ」です。

 

『誰に売るか』と『どうやって売るか』を理解すれば、『何を売るか』の“何=商品”が良ければ、日本の商品は海外に通用するのです。

 

それには、海外ウケするパッケージの特徴を理解して、商品コンセプトを海外用に考え、パッケージデザインを作る必要があります。

 

そこを押さえたらディストリビューターが見つかります。

高い価格帯で売りたいなら、誰(どこ/国や会社)に売るか・・・しっかり検討する必要があります。

海外に食品を売るときに重要なのは「何を」海外に売るのかということが重要だと説明してきました。

 

大切なのは

(1)日本の商品をそのまま売りつける

(2)海外の消費者用の商品を開発して売る

 

この2つの視点です。

 

(1)は完全にプロダクトアウト的な発想です。

(2)はマーケットイン型の発想です。

 

プロダクトアウト(提供側からの発想で商品開発・生産・販売する活動)
マーケットイン(市場や購買者という買手の立場に立って買手が必要とするものを提供する活動)

 

日本の消費者に必要とされていても、海外の消費者には全く必要とされていない商品を押し付けて売ろうとする(プロダクトアウト)
海外の商品者の立場に立って必要とされる商品を作って売ろうとする(マーケットイン)

 

どちらの路線で売るか真剣に考える必要があります。

また、何を売る、その考え方で重要なポイントがあります。

それは、商品やサービスの見せ方、という視点です。

 

例えば、蚊帳を海外で売りたいのであれば、「蚊帳」を売るのか、「安眠を提供するツール」を提供するかという考え方です。

 

日本では蚊帳は誰でも知っていますが、海外では誰も知りません。そんなところで蚊帳を売ろうとしても簡単には売れません。しかし、安眠を提供する道具としてアプローチすれば全く別な売り方が見えてきます。

 

エンドユーザーを誰に設定するかによっても売る商品の見え方は変わってきます。エンドユーザーが子供を抱えるママであるなら、ママ視点で商品を見せると、売れるようになるケースもたくさんあります。

 

既にある日本で売れている日本語のパッケージをそのまま海外に売り付けるのは、プロダクトアウト的な発想です。現地で必要とされる商品を作ってから売るのは、マーケットイン的な発想です。

 

日本語で書かれている商品パッケージでそのまま海外で売りたい、という方は海外に住んでいる日本人に売る・・・ということを想定しているのでしょうが、それでは市場があまりにも小さいです。

 

せっかくですから、世界に向けて売る、マーケットイン的な発想で、海外で通用する商品にしてから、売ったほうがチャンスは広がります。

そんなに難しいことではなくて、案外、パッケージ変更だけで対応できたりします。

 

それでは2つの視点をもっと詳しく解説します。

 

(1)日本の商品をそのまま売りつける

 

海外の人は当たり前ですが日本語が読めません。

全く日本語が読めない消費者が高価な日本食品の価値を理解できるはずもありません。

 特に日本の原料へのこだわりや安心への取り組みなどは全く海外で通用しません。

同業他社より価格が高くて理由を全く伝えようとしなくて売れるはずがありません。

現地で認知されていない商品を売るのは更に困難です。

 日本では非常にポピュラーな商品であっても海外で全く認知されていない商品を売るのは簡単ではありません。

 

例えば青汁です。日本では認知されていますが、海外では全く理解できない商品です。「何故雑草を食べなければならないのか?」と思われる商品です。体にいい?薬事法の制限でそんなこと記載できません。安心をアピールする?日本語でアピールできるはずがありません。

 

(認知されていない商品を売るには方法があります。キッコーマンさんが醤油を世界に広げたのと同じ作戦を取る必要があります。その辺りは他の記事で紹介します。)

 

(2)海外の消費者用の商品を開発して売る

 

海外の消費者が必要とする商品を開発して売る必要があります。

少なくともパッケージくらいは海外仕様のものが必要です。

 

海外の方が必要とする商品は日本で売れる商品とは異なります。

それは価値観が異なるからです。

そこを理解して海外用に商品開発をする必要があります。

 

2つの事例を簡単に紹介します。

 

①フリカケの事例

海外でフリカケを売ろうとすると最初に考えるのは、フリカケというのは海外では認知されていない商品である・・・ということです。そもそもご飯にフリカケをかけて食べる文化は日本だけです。こんな商品を海外に売ろうとすればどんな商品を提供すべきか真剣に考える必要があります。日本で売れているフリカケをそのまま紹介しても売れるはずがありません。まず、フリカケはご飯にかけて食べます。それもジャポニカ米です。パンを食べる人に売るならパン用のフリカケを開発する必要がありますし、世界のお米の主流は細長いインディカ米です。タイのお米です。

では世界でジャポニカ米を作っている国はどこでしょうか?そこからジャポニカ米を食べる習慣があるなら狙いどころです。因みにジャポニカ米を作っているには、台湾・朝鮮半島・中国北東部(旧満州)の遼寧省・黒竜江省・吉林省・米国東部です。その辺りから狙う必要があります。

更に、海外で日本のフリカケが異常に売れている国があります。それは香港です。なぜか日本ではあまり売れない、ある1種類のフリカケだけが香港では異常に売れているのです。

香港人の若い女性にどうやって食べているか聞いたところ普通にお弁当のご飯にかけてお昼に食べているのだそうです。インディカ米でも美味しいそうです。ということは売り方によっては売れる・・・ということです。海苔玉やすき焼きなど日本で人気の味は全く見向きもされず、なぜその味だけが売れるのかも聞きましがが、現地の感覚ではそれが当たり前であり、どんなフリカケなら売れるか教えてくれました。

そういうマーケットインのアプローチが必要・・・ということです。

 

②お茶の事例

日本からお茶を海外に売りたい人は、どうしてもリーフ(お茶っぱ)を売りたがります。

海外では急須にお茶っぱを入れて飲む習慣もないですし、急須を持っていません。そんなところにいくら頑張ってもお茶っぱをそのまま売れるはずがないのです。

海外に行ったことがある人は、グリーンティーのペットボトルを売っているところを見たことがあると思いますが、砂糖が入っていますよね。あれがグリーンティーです。

海外の日本食のターゲットとなるミドルアッパー層は普段スターバックスで休憩します。ここで売っている抹茶フラペチーノや抹茶ラテも大人気です。日本茶はヘルシーなイメージがあり、甘くして飲むものです。こういう視点が必要です。

更に海外の人は、甘くない日本茶といえばお寿司屋さん(回転寿司)で粉になっているお茶をイメージします。飲んだことがある日本茶は粉茶なんです。

そして海外で一番売れている市販用の日本茶は、ティーバックタイプです。

そんなところから、マーケットインで考えると海外で売れるお茶は、「ティーバック」「粉茶」「抹茶ラテ」そんなイメージです。

(実は海外の大手企業さんからの要請で既にクライアント様の依頼で商品化に入っており詳しく書くことができません。講演等でご紹介しています。)

 

プロダクトアウト的な発想で、お茶っぱを売る営業を続けても、海外の日本人かごくごく一部のスーパー富裕層にしか売れません。

 マーケットイン的な発想で商品化をすることをお勧めします。

 

そして一番大きなポイントは、添加物のグローバル対応と、賞味期限のグローバル対応です。

 

この当たりについては、別途作った下記の教材から確認してください。

 

 

 本サイト「食品輸出の学校」には4つのLEVELに分かれ、LEVEL1には多くの無料コンテンツがあります。詳しくは、こちらをご確認ください。

 



結論から申し上げますと、食品輸出成功のキモは「食品添加物の海外対応」と「販売期限の海外対応」です。日本と海外では使える食品添加物が異なります。海外主要18カ国で使える食品添加物の種類は平均307であり、日本は828です。日本の仕様のままでは例外規定のある国か運用ルールの厳しくない国(香港・シンガポール・マレーシア・カンボジア等)にしか輸出できません。特殊な日本の消費者向けの賞味期限をグローバルな形に修正する必要もあります。詳しくは下記から学んでください。