日本人との価値観の違い

 

海外の方は日本人とは価値観が違う

 

この価値観の違いを理解しておかないと、海外で全く求められていないことを海外の消費者に提供する・・・ということになりかねません。

 

なぜ、価値観が違うのか・・・今回は、日本がいかに特殊か、日本の特殊性と日本の消費者の特殊性という2面から説明をします。

 

特殊な国日本という環境の中で育った日本人がいかに特殊なのか・・・海外の人は全く違う!ということをご理解いただきます。そんな日本人向けに作った商品を海外で売るのでなく、海外の人に向けた日本の商品を開発していただく際のお役に立つための情報としてご理解ください。

 

 

(1)日本の特殊性

日本人は同じ言語を使う人が島の中に1億人もいる極めて変わった国です。そのため、きめ細かな意思伝達ができ、こまかなニュアンスが伝わりやすい・・・そうです。自分の考えと少し違うだけで、こまごまとクレームを言いやすい状況が出来上がっているのです。簡単に意思を伝えることができるので、すぐにクレームを言いやすいのです。仮に、日本が日本語と英語圏で、クレームを英語で言う必要があれば、すぐにクレームを言うでしょうか?

 

更に、日本はモノ作り国家であり、製造メーカーがたくさんあります。製造メーカーを作るにはお金がかかるので海外の途上国はどんどん製造工場を作ることは簡単ではないのです。日本には昔から銀行がたくさんあり、地方でも融資を受けて工場を作ることができ、インフラも整っていました。そのため製造メーカーがたくさんあるのですが、それは日本のだけ話です。

 

そんな特殊な状況にある日本という国はかなり変わっています。

そのため、日本人の価値観は他の国の人と異なるのです。日本と他の国が違う・・・というよりも日本だけが世界で極めて特殊!といった方が正解です。この日本だけが特殊、ということを充分理解しておかないと、日本のルールの前提にたって何でも考えてしまいます。

 

日本人口の99%以上が日本民族です。日本はほぼ日本民族だけで成り立っています。

ほぼ単一民族が単一言語で暮らす島国なのに人口が1億2千万人もいる特殊な国なんです。そんな国は他にありません!この独特の環境こそが日本がガラパゴスのように独自進化をできた理由なんですが、海外の方から見るとちょっと不思議な国だと感じてしまいます。

 

更に300年も鎖国をしてきて海外と交流を断ってきたわけですから謎の国ジパングと思われても仕方のない歴史的な背景もあります。そして1人当たりGDPが高く、ちょっと前まで米国に次ぐ世界第2位の経済大国でした。日本人は世界で類を見ないほど勤勉で真面目な人が多くて正直で・・・そんなの日本人だけなんです。性善説で何事も考える日本人は、そんな性善説を前提に暮らしている人が多く単一民族の島国に育っているので本当にお人好しが多いです。

 

更に水に悩む国々が多い中で水が豊富な国なんです。レストランにいって水がタダで出てくるのは日本くらい・・・・という話をきいたことありませんか?本当にそうなんです。変わった国なんです。

 

そして、日本語ってとっても難しい言葉なんです。日本語がとっても難しい言葉だという話を聞いたことありませんか?日本語は言い回しが複雑で言葉も多くて、言葉をつなぐ文字が「は」「を」「に」とか、色々あったり、非常に難解な言葉なんです。そんな他の国では通じない非常に難しく、細かい言語で情報伝達力が極めて高い日本語を単一言語として話す1億2千万人が狭い島国に暮らしているから、微妙な意思の疎通ができて非常に高いレベルで意思の伝達ができるため、国民全体で非常に細かいところまで意識の共有ができている国なんです。そのために細かい多様化が進みやすくて、例えば食べ物だけでも豊かで色々な食べ物があります。

 

海外で暮らしていると食べ物のことを聞かれることが多かったです。日本食はとっても数や種類が多いので説明するのに困りました・・・日本料理といえば、寿司、天ぷら、すき焼き、が海外では有名ですが、そんな食べ物だけでなく日本オリジナルの食べ物ってたくさんあります。うどん、そば、たこ焼き、お好み焼き、焼き鶏に、豚肉の生姜焼き・・・鍋だけとってみても、しゃぶしゃぶ、水炊き、寄せ鍋、ちゃんこ鍋・・・数えきれない種類の料理があります。更に普段の家庭ではそういう料理は、あまり食べていないのに「日本人は、毎日、寿司と天ぷらを食っているのか?」って真面目に何度も聞かれました。(笑)

 

普段はそういう料理は食べていなくて、普通の家庭料理を食べている、と説明すると、「普通の日本の家庭料理って何だ?」と聞かれて、ますます窮地に追い込まれていくんです。(笑)

更に日本にはたくさんの郷土料理があって、海外から取り入れた外国料理を勝手に作りかえて日本風にオリジナル化したメニューがたくさんあります。ラーメンは中華料理として入ってきて、独自進化をとげて味噌ラーメン、醤油ラーメンなど本場中国にもない日本オリジナルの日本料理化しています。ハンバーガーだってテリヤキバーガーとかライスバーガーを作ってすぐに日本のオリジナル化をしてしまいます。そのくせ海外で日本料理を食べると日本と違う・・・とか言い出す日本人が多いんです。(笑)

 

自分は日本で味噌ラーメンとかテリヤキバーガーを食べているくせに・・・世界ではそんなに豊かな食文化ではない国のほうが圧倒的に多いのでなかなか理解してもらえません。

日本の食文化はそれだけ豊かなんです。そんな国は日本だけです。

 

 

(2)日本の消費者の特殊性

更に日本の消費者は極めて特殊です。このことを理解できない人が海外市場攻略をしてくときに大きな間違いを犯します。日本の消費者は特殊で、日本の家庭用消費財の製造業も特殊なので、日本は特殊対特殊の世界でビジネスがなりたっています。そして、世界に出て行こうとするとエンドユーザーである現地の消費者を理解しないで、日本の特殊な商品をそのまま現地に売り付けようとするので、うまくいかないことが多いです。

 

例えば、日本の消費者は、潔癖症で異常に清潔好きです。駅のホームの売店や本屋さんで週刊誌を買うときに、上に置いてある本で内容を確認してから、買うときには下のほうにあるまだ誰も触っていない本を抜き取っていく・・・そんな人見たことありませんか?

 

そんなことをするの日本人だけです(笑) 小さい時から、手を洗え、何度も手を洗え・・・そう教育されてきているのでそんな潔癖症になってしまっているんです。海外では水が少ない国や水道の水が飲めない国が多いので、水道の水で手を洗っても、そんなに手が清潔になるわけでもありませんし、手を洗うことを徹底して教えられている訳ではありません。

そんな潔癖症が独自進化した日本の消費者が、海外では「ま~いいや~・・・」となるような細かいことまで色々意見を言い出すので、海外ではありえない商品苦情が日本ではたくさん起こります。

 

食品メーカーに来る商品クレームは1PPMくらいと言われています。1PPMとはPercent per Million(パーセント・パー・ミリオン)の略で、100万個売って1回クレームがくるという意味ですが、海外では商品苦情はほとんど発生しません。

 

海外で6年小売経験がありますが、クレームは何度か経験しましたが商品の品質クレームは海外でも日本人以外からでたことは1度もありませんでした。

 

日本という特殊な環境下で、日本語という高度な意思疎通が可能な言語を使っているために、日本人は自分で細かいところまで頭の中で様々なことや状態が描けて、それを伝えることができてしまいます。みんなが高度なレベルで相手の考えていることを想像できてしまうのです。そして自分の想定と違っていると、これはおかしい・・・となって苦情につながってきます。

 

そうなんです!日本って商品苦情がとっても多い国なんです。世界の人々は日本人と違い、もっとおおらかで細かいことを気にしません。言語でそんな細かいレベルまで意思疎通をしなくても何の問題なく何十年も生きているのでかなりアバウトでおおらかです。非常に小難しくて苦情ばかり言ってくるのは日本人だけの特徴です。海外ではそんなことはなくて世界の人は、もっとおおらかで、細かいことを気にしません。

 

消費者の苦情やクレームが非常に多いというのは日本だけの特徴です。アジアでは購入者責任という考えが強く粗悪な商品を買った場合、買った方が悪い、というふうに考えるのが普通です。日本では売った方が悪い、ということで販売者や製造者に対して販売者責任者や製造者責任を求めますが、アジアでは日本だけです。

 

欧米では、製造者責任の考えはありますが、食品の髪の毛の混入には非常におおらかです。日本のルールが世界で唯一の絶対ルール・・そう妄信的に考える日本人が多いのです。日本で売るときには当然のことなのですが、海外に売っていくなら郷に入っては郷に従え、海外で売るなら考え方も海外対応して欲しいです。

 

世界で一番ややこしい日本人というお客さんに鍛え上げられた日本の商品のレベルは世界ではピカイチレベルです。ただ日本という特殊な環境で、生き残っているので、その商品を世界に販路拡大していくには注意しておくべきポイントがいろいろあります。

 

例えば、日本人の間では微妙なこだわり商品の意図が伝わりやすいのに、海外ではそういう商品の良さはなかなか伝わりにくい、ということがあります。こだわりの原材料を使っているから値段が高い・・・という商品は、そのこだわりが海外では通用しにくいのでこだわり商品を海外で売っていくには、よほどのことが必要です。特に、店頭に商品を並べて接客販売をしないで売っていくような商品で日本のこだわり商品を売っていくのは非常に難易度が高いです。

 

日本市場では非常に難解な言語日本語を商品やPOPに表示して、わずかな違いをアピールできても海外ではそれが伝わりにくいからです。日本の食品には原料の産地にこだわった商品が多いですが、それが通用するのは日本国内だけです。原料の原産地にこだわっているから値段が高い!理由は原料の産地のこだわり!というのは海外では通用しないので注意が必要です。

 

日本も日本の消費者もかなり特殊です。そうです。変わっているのです。そんな日本人に対応した日本の商品が、全く価値観の違うおおらかな海外の方に本当に求められているか、真剣に考えていただきたいのです。

 

具体的には、賞味期限の問題です。日本の消費者がもとめている、しっとり感やパリパリ感、原材料のこだわり、そんなことを海外の消費者は求めていないのです。

 

そこが日本人と海外の人の日本食品に対する価値観の違いです。毎日、日本食品を食べている日本人と、たまにしか日本食品を食べない海外の人は、求める品質が異なるのは、価値観の違いからきているのです。

 

価値観の違いから海外で全く認知されてない商品があります。例えば青汁は日本ではみんな知っていますが、海外の人は知りません。商品が認知されていないのです。認知されていない商品は棚に置いてセルフで売ることはできません。

 

それも日本語で書かれていれば売れるはずがありません。認知されていない商品を売るには売り方があります。それは価値観の違いをしっかり理解して対策を打つ必要があります。更に、認知されていないうえで、決して美味しいとは言えない青汁のような商品は更に一ひねりが必要になります。この辺りは特別ノウハウとして提供しています。

 

本サイト「食品輸出の学校」には4つのLEVELに分かれ、LEVEL1には多くの無料コンテンツがあります。詳しくは、こちらをご確認ください。

 



結論から申し上げますと、食品輸出成功のキモは「食品添加物の海外対応」と「販売期限の海外対応」です。日本と海外では使える食品添加物が異なります。海外主要18カ国で使える食品添加物の種類は平均307であり、日本は828です。日本の仕様のままでは例外規定のある国か運用ルールの厳しくない国(香港・シンガポール・マレーシア・カンボジア等)にしか輸出できません。特殊な日本の消費者向けの賞味期限をグローバルな形に修正する必要もあります。詳しくは下記から学んでください。