執筆・連載情報③


アジアの食品流通事情③

食品新聞連載(3)

2019年12月6日掲載 1面です。


食品輸出の布石のために③

 

 書き下ろし原稿は下記からご確認ください。


前回小売業への納品率が低いという話をしたが、商品が配給制と言えるくらい小売より食品メーカーが圧倒的に強い。そのため小売ではこんなことが起こる。

 

海外ではFOCFree of charge)やPWGPurchase with gift)・PWPPurchase with purchase)と言われるプロモーションが多く行われる。FOCはオマケのことでPWGは買ったらプレゼントがもらえるプロモーション、PWPは日本ではセルリキと呼ばれ、買ったら他の商品が安く買えるというプロモーションである。セルリキは日本のコンビニではポピュラーで一定以上の金額を買うとキャラクターグッズが買えるというようなプロモーションである。

 

お店には商品と一緒に大量のおまけが送られてくる。ひどい時には商品におまけがもらえると突然印刷された商品が納品される。もちろん小売側に何も事前連絡はない。おまけは後で来るので店頭にその商品を陳列するとお客さまからオマケを要求され初めて小売が気付く。そんなことは日常茶飯事である。小売がメーカー側にクレームを入れると商品供給がストップするだけなので解決にはならない。

 

自分のコストでたくさん売れるように小売をサポートしているという考えなので弱い小売の現場はいつも泣かされていた。小売店舗はおまけの在庫管理のために膨大なスペースと時間をさく必要があった。

 

アジアと日本のスーパーで事情が異なるのは他の販促面でもある。ラックジョバーと言わる「棚買い」が盛んで、売場を一定期間借り切っての特売や新商品案内が盛んである。小売は一定の金額をリベートでもらえばどんどん場所を提供するので、非常に店頭催事が打ちやすい。お店にはプロモーターと呼ばれる食品メーカーの自社社員が常駐しているので、ある意味色々やりたい放題で店頭催事が打てる。

 

また、小売はメーカーに登録料を要求するケースが多い。新商品を小売がマスター登録する際に要求するお金のことである。

 

海外には卸も路線便もない、と説明したが海外に日本食品を売る場合、どの会社に売れば良いのかというと『ディストリビューター』という会社に売ることになる。日本食品や輸入食品を取り扱うディストリビューターやお酒など特定の商品に特化したディストリビューターが輸出する場合のターゲット企業となる。

 

ディストリビューターが日本の卸と異なるのは主に3点ある。(1)食品メーカーと小売の間に入らないこと。(2)路線便を使わず自社配送便で全国に商品を届ける仕組みをもっていること。(3)2次卸を一切使わず小売や飲食店と広く口座を持って直取引をしていること。

 

食品メーカーも自社で上記の機能を持っていればディストリビューターと言える。自社でディストリビューター機能を持たない輸出専門工場もある。

 

ディストリビューターのうちメーカー機能を持たず、輸入食品を取り扱うディストリビューターを攻略することが海外で日本食品を売る1つのポイントと言える。店頭で商品を陳列するのは小売ではなくディストリビューター。発注数量を決めるのは小売でなくディストリビューター。エンドや催事を組むのはディストリビューター。

 

結局アジアではディストリビューターがいないと小売が何も決められないのである。こんな状況でも日本の食品メーカーは一生懸命海外の小売と商談をしたがり一時的な催事の開催に取り組もうとする。まずはディストリビューターを探すということが重要だと認識する必要がある。

 

 他には、アジアにはPL法がまだ存在しない国が多いということも知っておく必要がある。PL法の代わりに品質に関するルールがあり、小売が販売者責任を負う国が多い。何か輸入すると外貨が流出するため国内製品を多く売る必要があり、製造業に作る国産品を売ることが奨励され、製造業は国の宝であり、それを保護するためにPL法がまだない途上国がまだ多い。

 

 日本でもPL法ができたのは1995年である。PL法がなく品質責任を小売に負わせる国がまだ多いのに日本的なリスクを考えて輸出に消極的な食品メーカーが多いが、東南アジアは常夏であり棚替えがなく一度商品が入り、売れていれば何年も長期間定番商品となるという美味しい可能性もあるのに輸出に取り組まないのはもったいない話である。


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