海外の誰に売るか真剣に考える

 

海外の誰に売ればいいのか?

 

誰に売る明確に分かっていないから、間違ったところにアプローチしてしまい上手くいかない・・・そんな食品メーカーさんが多いです。

 

既に、各国に買ってくれる人がいるなら、心配をする必要はありませんが、継続的に次々と色々な国であなたの商品を継続的に買ってくれるパートナー、できればコンテナ単位で毎月買ってくれるパートナーがどんな企業か分からないのであればしっかり知っておく必要があります。

 

この誰に売る、を理解していないから海外の購入者を探すことができない食品メーカーさんがほとんどです。

 探すのは、「海外で御社と同様の製品を広く販売している会社」です。

しかし、ポイントはその会社を何と呼ぶか・・・ということです。

 

「海外で御社と同様の製品をその国で広く販売している会社」

 この会社を探す時に、誰に何と言って聞きますか?

 

例えば、日本のお酒を海外に売りたい人は何と言って、その会社を紹介してもらいますか?

 日本のお米を売りたい人は?

 

ここが非常に大切なポイントなのに、理解していない人が多く、そのために海外のビジネスパートナーを紹介してもらえないのです。

 そんな過ちを皆さんがしています。

 

日本なら、『お酒の卸』とか『酒卸売業』を紹介して下さい・・・という人が多いでしょう。

 しかし、海外にはそもそも卸売業はないのです。

 

更に、海外に視察や調査に行って通訳に、日本語で『酒卸売りの会社を紹介して欲しい』と平気で言う人がいます。(笑)

 現地には卸売業なんて、そもそも存在さえしないのにそんなことを言われた通訳さんやガイドさんは、困ってしまうのです。

 

残念ながら、平気でそんなことを言っている人が非常に多いのです。

 日本のジェトロさんにお願いしても同じです。

 海外の流通事情を知っている海外にいた経験がある人なら、まだ意味が通じるかもしれませんが、海外の流通事情が日本と全く違うことを知らない人があなたの窓口になってしまうと、適切な方を紹介してもらうこともできません。

 

更に海外で英語を使って聞く時には、そんな人達が何と言って聞いているかというと、翻訳機を使って、卸を「ホールセール(Wholesale)」と、平気で聞いているのです。(笑)

 

卸売業のない海外で「ホールセールを紹介して欲しい・・・」とか言い出すと、コストコのような、会員制の小売業に案内されてしまいます。(笑)

 

必要な知識がなければ、そもそもパートナーを探すことさえできないのです。

 では、何と言って探すのか?

 

答えは、「Distributor(ディストリビューター)」です。

 ディストリビューターとは、在庫を持って現地の小売業に商品を配送販売している会社です。

 

ディストリビューターは日本の卸と違い、自社在庫を持って自社の車で小売の店舗まで配送します。商流にだけ入って配送は別で・・・ということは路線便がない海外ではできないのです。自社物流網がどうしても必要となります。ディストリビューターというのは自社物流網を持っていて、小売にアカウント(口座)をもって直接取引をしている企業です。

 

酒を売るならお酒のディストリビューターに売りに行くのが王道であり、お米を売るならお米のディストリビューター、野菜を売るなら野菜のディストリビューターに売りに行くのが輸出営業の王道なのです。


それなのに、現地進出している日本の小売業に兵站の考えなしに売りに行くから、交渉が全くうまく行かないし、小売業の店頭物産展や見本市に出品しても定番化できないのです。

 

兵站とは、『戦場で後方に位置して、前線の部隊のために、軍需品・食糧・馬などの供給・補充や、後方連絡線の確保などを任務とする機関。その任務。』のことですが、小売業の現地バイヤーは、通常、現地の仕入れ先と店着価格で価格交渉をしています。

 

日本出し価格を言われても交渉が成り立たないのです。

 店舗に継続的に商品を供給できる体制がないと、日本の商品を売ることはできないのでその仕組みを作ってから営業する必要があるのです。

 

海外で、流通事情を知っている人に、「〇〇のディストリビューターを紹介して欲しい」そういえば、どんどん会社を紹介してもらえるのに、そうやってお願いしている人はほとんどいないのです。

 

更に言うなら『お酒を輸入販売しているディストリビューター』、『お米を輸入販売しているディストリビューター』。それを紹介して欲しい・・・そういえば、現地でその商品を輸入販売している会社を簡単に探せます。

 

分かりやすく言えば、海外で色々お店を見て回って、あなたの商品に似ている商品を売っていれば、それを販売している会社がディストリビューターです。

 

海外でお店を回ればその国のディストリビューターは、すぐ分かります。海外出張の一つの目的は、このディストリビューター探しなんです。

 どの国でも輸入には専門の知識が必要で、輸入するにはノウハウも人脈も必要です。

 

常日頃から、その商品を輸入して、自社物流網で小さいお店まで全国に商品を届けているディストリビューターにあなたの商品を売る必要があるのです。

 

そのディストリビューターを探す方法が4つあり、それが「紹介」「飛び込み営業」「展示会」「B toB EC市場」の4つなのです。その海外のディストリビューターに直接売る方法はSTEP⑤で詳しく解説しています。

 

海外の展示会に出店して、大切なことはあなたの商品に興味を持ってくれた見込み客が、どのエリアでディストリビューターをやっているか・・・それを確認することです。

 商品に興味を持つ人はたくさんいますが、ディストリビューター以外と話をしても、商談は全く進みません。

 日本のような路線便がない世界で、自社物流網を持たずに、全国配送はできないからです。

 

でも、これで、あなたも「誰に売る」が理解できましたね。

 海外市場で自社商品を売るには狙うターゲットを明確にする必要があります。

 

輸出を進めるために最初に考えなければならないのは狙うターゲット=「誰に」売るかということを明確にする必要があります。ここでは、誰に売るか・・・という視点で3つのポイントを記載します。

  

 

◆誰に売る「企業編」

 

海外に売る時、どういう商流で商品を小売店に売ろうと考えますか?

 

日本と海外で加工食品の流通事業は大きく異なります。海外には卸(問屋)がないのです。製造メーカーが異常に多い日本にある独自の業態が卸です。海外は製造メーカーが少ないのでメーカーは小売と直接取引をします。

 

そして海外には路線便というものがありません。例えあっても小売に商品を届けることはできても、そこで係員に検品してもらい数を確定する作業は外注できません。海外では商品はすぐに消えてなくなるからです。

 

流通事情が日本とは全く異なるのに、誰に売るかを考えずに売ろうとしても売れません。海外の小売店で定番化しないことには継続的に輸出することはできません。日系小売店の店頭催事に出展したり出品しても、行政に言われた場所に商品を納めるだけで、海外の店舗への安定した供給ルートを築ける訳ではなく、自社の輸出ノウハウもできません。

 

海外には商品を輸入して販売する企業が存在します。それをディストリビューターと言います。海外で卸(Wholesale)を探してもコストコさんのような店に連れていかれます。

 

商品を売るにはその国で自社物流網を持ち、全国に日本食品を納品できる体制を持ち、現地小売業と直接口座を開設して取引をしている日本食品ディストリビューターに商品を売る必要があります。

 

農産物なら農産物のディストリビューターに商品を売る必要があります。しかし、日本の農業関係者が海外の農産物のディストリビューターに営業しているかというと、全く営業していません。誰に売るか、全く分かっていないのです。

 

自社から輸出商社経由で海外の日本食品ディストリビューター経由で現地小売店に売る・・・これが商流の答えです。この海外の日本食品のディストリビューターにどんどん売るにはどうすれば良いのか、それは別途STEP④とSTEP⑤で解説します。

 

 

◆誰に売る「消費者編」

 

海外では消費者が日本の特殊な消費者とは大きく異なります。

海外の消費者は日本の消費者と価値観も異なります。

この価値観の異なる消費者に売る必要があります。

 

海外の消費者は当たり前ですが日本語が読めません。日本語で書いてある商品がそのまま売れる訳がありません。一部の大手メーカーの商品が現地の日本人や富裕層に売れるだけです。

 

そこに気付いたメーカーさんはどんどん海外に商品を売っています。企業の大小は関係ありません。海外の消費者の価値観に対応した商品力が関係します。

 

更に、富裕層に売るのか爆発的に人口が増えている中間層に売るのかを決める必要があります。日本食品を海外に住む日本人に売るのか、海外の富裕層に売るのか、中間層に売るのか、それを決めないと売る先が異なりますし、売り方も異なります。

 

富裕層に売るならディストリビューター経由で現地のデパートに売ることになるので、デパートに強いディストリビューターに売る必要があります。

 

中間層に売るなら全国に販路を持つディストリビューターに売る必要があります。

ターゲットを決めて、その価格帯で売れるのか考える必要があります。

 

 

◆誰に売る「国別編」

 

どの国の消費者に売るのか考える必要があります。その際のポイントの1つが輸入するときのハードルの高さです。

 

日本から食品を輸出する際の大きなポイントに賞味期限があります。遠くの国に売るとコンテナに乗っている時間が長くなるので食品はアジアから売っていくのが基本です。それにアジアには親日国が多く、人口も増え、中間所得層がどんどん日本にやってきていて日本食品を知り始めているからです。

 

そんなアジアで食品を輸入するハードルが低い国は、香港・マレーシア・シンガポール・カンボジアです。これらの国は食品メーカーさんの資料がなくても輸出できてしまいます。

 

ハードルの高い国は、インドネシア・中国・タイ・韓国・フィリピン・ベトナムです。

ミャンマーは現状裏ルートで商品が入っているケースが多く、本当はハードルが高いのですが、どんどん商品が入っている状況です。

 

自社商品が輸入不可となる国もあるので、どの国から売っていくか・・・という視点も必要です。この辺りの情報はこちらのページも参考にしていください。

https://www.food-export.jp/makuro/

 

 

いずれにせよ【海外市場で狙うターゲットを明確にする】必要があります。それを明確にすればするほどどんな商品を売るべきかはっきりと見えてきて、次のアクションが明確になってきます。

本サイト「食品輸出の学校」には4つのLEVELに分かれ、LEVEL1には多くの無料コンテンツがあります。詳しくは、こちらをご確認ください。



結論から申し上げますと、食品輸出成功のキモは「食品添加物の海外対応」と「販売期限の海外対応」です。日本と海外では使える食品添加物が異なります。海外主要18カ国で使える食品添加物の種類は平均307であり、日本は828です。日本の仕様のままでは例外規定のある国か運用ルールの厳しくない国(香港・シンガポール・マレーシア・カンボジア等)にしか輸出できません。特殊な日本の消費者向けの賞味期限をグローバルな形に修正する必要もあります。詳しくは下記から学んでください。