執筆・連載情報⑱


食品新聞連載(18)

2020年1月29日掲載 1面です。


食品輸出 一番効果と効率の良い海外営業方法


 

 書き下ろし原稿は下記からご確認ください。


前回説明した4つの営業方法の4つ目となるのが「飛び込み営業」である。

 

実は、この飛び込み営業が一番効果が良い。私の友人であるケルビン氏(3年で食品コンテナ単位で60ヶ国/地域に輸出・新規海外販路開拓した営業マン)と丸5日間日本とマレーシアで一緒に過ごし、彼から聞き出した彼の営業方法をお教えする。彼に監修してもらい日本ナイズしたケルビン氏の免許皆伝の営業方法である。

 

私がお教えした方々も皆、嬉々として海外のディストリビューターに飛び込み営業をされるようになった。言葉が話せるかどうかは全く関係ない。英語が通じない国にも行く必要があるからだ。

 

各国の行政が共同開発している「VoiceTra」という圧倒的に便利な無料アプリがある。これを使えば言葉の壁は解決する。誤訳も瞬時に分かる優れたアプリなのである。

 

毎回同じ会話しかしないので、事前に英語の資料を準備しておけば良いだけである。

 

ケルビン氏はマレーシア系の華人である。お菓子メーカーの跡取りとしてオーストラリアの大学院を卒業してから親の経営する会社に入社した。与えられた仕事は海外販路開拓だけ、部下もいなかった。最初は訳が分からず展示会に出展していたが、あまりに効率が悪いので飛び込み営業型に変更して成功した。

 

日本には食品輸出商社が200社ほどあるが業界3位の会社が70ヶ国くらいに輸出しているのでケルビン氏の3年で60ヶ国というのがいかに凄いかご理解いただけると思う。

 

飛び込み営業と説明をしているが、実際にはアポイントを取ってからディストリビューターに行くので本当の飛び込み営業とは異なる。私も何度も挑戦したが、知らない会社に事前にメールや電話でアポイントを取ってから会いに行くと、紹介もなくやって来た営業マン・飛び込み訪問扱いを受けるが、現地では非常に面白がられた。そんなことをする日本人が少ないからである。

 

ケルビン氏が、現地に行って自分でディストリビューターを見つる方法だが、まずできるだけ大きな小売店に行き、自社商品に近い商品輸入商品を探す。商品には通常ラベルが貼ってあり輸入者名が記載され電話番号が書いてある。そこに電話して行くという極めてシンプルな方法である。

 

商品にラベルがない国や記載言語が読めない国であればスタッフにどこから仕入れているか聞いて、小売店のスタッフに自分の電話から電話をかけてもらい、小売店のスタッフにディストリビューターを紹介してもらうのである。

 

日本の小売チェーンでそんなことをしても誰も教えてはくれない。しかし海外のチェーン店でない店で働いている方は非常におおらかで問題なく教えてくれてサポートしてくれるとのことであった。それでも良い情報が見つからないときは飲食店に行き輸入している食材の仕入れ先を飲食店で聞くのである。

 

どこから仕入れているか聞いて、仕入れ先の名刺を写真で撮って、自分の電話でお店の人に電話してもらい、飲食店の人にディストリビューターを紹介してもらい、その会社の事務所に行って営業をするのである。

 

彼はこれを各国で繰り返して販路開拓をしたのである。なお詳細は「日本食品を世界で売る会」のページで確認いただきたい。

 

また初めての国が不安な日本人の方へとして、ケルビン氏はこうアドバイスしてくれた。1人で初めて行く国で飛び込み営業する時には、ある程度しっかりしたホテルに泊まりホテルのコンシェルジュを使うのである。

 

高級チェーンホテルのコンシェルジュは、日本語対応できるホテルが結構ある。英語ができる方ならホテルの選択の余地が更に広がる。そしてコンシェルジュに、持ってきた商品サンプルを見せて「この商品と同じような商品をたくさん売っている店に行きたい。ここからタクシーで安全に行ける場所にある大きなお店を3つほど教えて欲しい。」とコンシェルジュに依頼するのである。

 

候補が出てこない場合は遠慮なく、「あっちのスタッフにも聞いてきて欲しい」と頼み、それでも出てこないときは「フロントのスタッフに聞いてきてほしい」と頼み、とにかく3か所良い店を聞き出すのである。

 

そして「この町は、初めてだけど、タクシーはどのタクシーなら安全なのか?」と聞く。海外はぼったくりタクシーがいるので気を付ける必要がある。

 

そして提案されたお店に行き、その商品の売場を探し、そして商品を見つけたらその商品に書かれている販売会社をメモして写真を撮り、そのディストリビューターに電話してアポイントを取るのである。

 

商品に表示がない場合や英語で書かれていない場合はその場にいるプロモーターにお願いしてお店の担当スタッフを呼び出してもらうのである。

 

お客を装って「この商品を買いたいが、説明してくれるスタッフはいるか?」社員にその商品の仕入れ先を聞き、アポイントの電話をして欲しい、と頼むのである。

 


食品輸出、海外販路開拓、海外向け商品開発をテーマに、講演やセミナー行います。講師の出張派遣も行います。また個別コンサルティングについても、お気軽にこちらからお問い合わせください。



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