執筆・連載情報⑧


食品新聞連載(8)

2019年12月18日掲載 1面です。


食品輸出 ディストリビューターを知る


 

 書き下ろし原稿は下記からご確認ください。


日本と海外では商品の流れが異なる。日本と海外が一番異なるのは卸の存在である。日本はモノ作り大国であり、要はメーカー(製造業)や工場が多いのである。それは食品業界にも当てはまる。

 

日本は第2次世界大戦で敗戦したあと復興を遂げた。その際、電気や水などの社会的基盤がしっかり整備され製造業があちこちにできた。多くの製造業の商品を日本中に届けるために道路が整備され路線便ができ卸の機能が発達した。製造業が物を作って、卸が広く商品を届ける仕組みとができたのである。

 

しかし、この仕組みは日本独自ということを知っておく必要がある。卸という機能は日本の特殊な機能であり海外には卸売業という形態がほとんど存在しないのである。

 

韓国には存在するようであるが、それ以外の国である程度の規模の企業として卸売業をいう業種が存在しているという話を聞くことはない。

 

笑い話になるが、日本のメーカーの社長が海外に視察に行って「卸に行きたい」と話をされ、通訳が「WHOLESALE(ホールセール)」と訳し、メトロやマクロなどの倉庫型小売業に案内されて怒り出したという笑い話がある。海外には卸という業態がないから、日本語の卸を直訳されるとそんなことになってしまう。海外には、そんな卸売業はないのである。

 

ディストリビューターとは自社で商品在庫を持ち、小売や飲食店と直接口座を持ち、自社配送車で商品を指定された場所まで届ける会社のことである。

 

自社で全国の小売店や飲食店と直接商談して商品提案をして、自社配送で商品を届ける。この仕組みが日本とは異なるのである。日本ではメーカー向けのインフラが整備されており、製造拠点がたくさんあるため、魅力的な商品が多く品数も豊富である。その上、製造工場を持たない食品企画会社も多く市場に参入していて小売の品揃えが非常に魅力的になる。更に全国に名産品が多く、地域のお土産店の商品も魅力的である。

 

しかし、これは日本の特殊な事情でできているのであり海外の食品は日本のように種類が多くないことを知っておく必要がある。

 

日本食品を輸入してその国で販売するのが日本食品ディストリビューターである。各国にはそれぞれ日本食品を輸入して販売するディストリビューターがある。食品メーカーが海外で自社商品を売りたい場合このディストリビューターに商品を売る必要がある。

 

なたの会社が日本の食品輸出商社に販売し、その食品輸出商社が海外の日本食品のディストリビューターに販売するという間接貿易をするのか、自社で海外の日本食品ディストリビューターに販売する直接貿易をするのか、この2つの方法が海外販売方法となる。

 

ディストリビューターにはいくつかのタイプがある。野菜は野菜のディストリビューター、米は米のディストリビューターがあり、酒には酒のディストリビューターがある。

 

以前野菜と果物を取り扱う農産物のディストリビューターの社長と話をした。日本の農産物を全く取り扱っていないので理由を聞いたら「日本の農家は誰も営業に来ない」と言われていた。

 

私はイスラムの国マレーシアで日本のハム・ソーセージを輸入販売していたが、そんなことができるのは現地の豚肉のディストリビューターしかいないのでそこに輸入をお願いしていた。

 

販売したい商品を取り扱っていて輸入実績を多数持っているディストリビューターと直接商談することが輸出成功への近道となる。

 

例えば日本の酒を売りたいなら、既に日本酒を取り扱っている日本食品のディストリビューターと交渉をするが、まだ日本酒を取り扱っていないお酒のディストリビューターと交渉もするということである。現地で大量に市場で酒を売っている酒のディストリビューターに多数営業して自社の商品を理解してくれるディストリビューターを見つけるのがグローバル営業の基本となる。

 

そんな日本の商品を取り扱っていないディストリビューターの経営者やバイヤーは日本のメーカーと商談したこともないし、日本食品の展示会にも行ったことがない人が多い。ディストリビューターの特性をしっかり理解しておかないと営業先を間違ってしまう。

 

ディストリビューターの見つけ方は実はとでも簡単である。私の友人で3年で60ヵ国にコンテナ単位で菓子を売ることに成功したマレーシアの若者ケルビン君のグローバル営業方法を後日ご紹介予定である。

 


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