食品新聞連載(19)
2020年1月31日掲載 1面です。
書き下ろし原稿は下記からご確認ください。
日本食品を海外に輸出するというのは海外展開の第1段階である。
次の段階は海外で商品を作り、その商品を海外で売ることが食品メーカーの海外展開の第2段階である。
そして第3段階は海外に自社工場を作り自社で販売し、多国でそれを実施して完結するのである。
食品メーカーの海外展開の最終形はキッコーマンさんのような形態である。世界の7~8カ所の自社工場で商品を作り、それを周辺国へ輸出して世界中で販売できる体制を構築するのである。
そうすると輸出というのはあくまでも近隣国での商品展開のテストであり、次の段階は海外で低コストで商品を製造しその商品を現地の方が購入できる低価格で販売することになる。
日本には食品メーカーが多いが、海外には食品製造工場は多くない。海外にいきなり工場と建設するのは現実的ではないので、現地でOEM製造して現地で販売する方法が第2段階としては現実的である。
ではどの国で取り組むのか?日本の周辺国で食品工場が多い国は、中華人民共和国とタイと台湾である。中華人民共和は日本に資金を送付するのにハードルが高く、一度進出すると撤退が難しい。更に、中華人民共和は非常に大きいため国境を越えて売るといういうより、国内対応だけでもスケールが非常に大きい話になるので海外事業のテストには向いていない。
そうすると、必然とタイが候補地になる。マレーシアやインドネシアやベトナムでは食品製造工場が少なすぎる。台湾ではエリア的に日本と位置が変わらない。しかしタイは陸地でマレーシア・ラオス・カンボジアとつながっていて、ベトナムへはカンボジアを通じて陸路でつながっている。
更に、タイは1人当たりGDPが真ん中である。アジアの主要国の1人当たりGDPを高い順に並べると「シンガポール・香港」そして「日本・韓国・台湾」そして「マレーシア・中国・タイ」となり、「インドネシア・フィリピン」となって「ラオス・ベトナム」そして最後に「カンボジア・ミャンマー」となる。タイは真ん中なのである。
そしてタイはアセアンに属していてアセアン内に輸出するのにメリットがある。国境を越えて売る練習をするのにはちょうど良い国である。
国が決まると、次に価格のことを考える必要がある。世界に売っていくには、現地の店頭価格を日本の販売価格より低価格にして商品開発をする必要がある。その実験場としてタイは地理的にも所得的にも真ん中で、既に日本企業がたくさん進出しているので、食材の調達にも便利である。
そしてタイの食品工場は輸出にもOEMにも慣れている。輸出可能な食品工場は全てリスト化されているので探しやすいというメリットもある。
タイはタイ語が使えないとビジネスができないというデメリットはあるが、逆にこの言語のハードルが新規参入の妨げになって良いのである。
そしてタイでOEMをした商品を、タイ市場で売り、マレーシア市場、そして香港・シンガポール・台湾市場、更にインドネシア市場に売り込むことで自社商品を海外対応が本当に実現するのである。
私にはタイにビジネスパートナーがいる。イオントップバリュ株式会社(旧社名アイク)のタイの所長を経験し、現在はタイで独立し、食品をタイから輸出する仕事と、日本の食品メーカーの商品をタイでの販路開拓支援をするREP業務を専門で行っている井上氏という方である。
食品の商品開発も詳しく品質管理分野も長けている。私はタイではこの井上氏と組んで日本の食品メーカーの販路開拓やタイから日本への商品輸出の支援をしている。
タイでOEM製造した商品を日本に輸出し、その商品をタイ国内と周辺国へ出荷する仕組みを作っている。
もちろんアジア各国での店頭価格は日本の店頭価格より安い。タイで原料調達をして製造しているからである。
日本の食品メーカーはアジアの中間層に適した低価格での商品開発が苦手である。日本人のスペックに合わせることにこだわりすぎて価格が高止まりしていては、いつまでもグローバル対応した商品を開発できない。
現地の方の要求レベルに適した日本の味を低価格で開発し現地に紹介していく必要がある。
その取り組みに挑戦するのが輸出の次の第2段階となる。この取り組みをタイで行ってみたい方は、ぜひとも本年4月開講予定の「食品輸出実務と実践塾」に参加いただきたい。
食品添加物のグローバル対応を含め話をさせていただき、参加者の方のうち希望される方と、一緒にタイに視察にも行こうと考えている。
タイの工場のレベルの高さにはきっと驚かれるに違いない。
食品輸出、海外販路開拓、海外向け商品開発をテーマに、講演やセミナー行います。講師の出張派遣も行います。また個別コンサルティングについても、お気軽にこちらからお問い合わせください。
食品輸出 実務と実践塾を開催予定です。ぜひこちらからご確認ください。
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