執筆・連載情報⑰


食品新聞連載(17)

2020年1月27日掲載 1面です。


食品輸出 海外に直接売る4つの方法


 

 書き下ろし原稿は下記からご確認ください。


海外には日本食品に興味を持っている人は大勢いて、近年は個人でネット転売をする人もいる。更にブローカーのような人も大勢いるから多くの食品メーカーは海外からアプローチや引き合いを受けたことがあるだろう。

 

しかし、そのほとんどは商売には結びつかない。なぜなら自社物流網をその国で構築し、多くの小売業に食品を納品している実績のあるディストリビューターは数が少ないからだ。ほとんどの引き合いは食品の輸入実績があるディストリビューターではなく、食品を輸入する方法を知らいない新規参入者であるためにビジネスに結びつかないのである。

 

そんな海外の大口仕入れ先である見込み客(ディストリビューター)を見つける営業方法はこの4つしかない。「①紹介営業」「②EC営業」「③展示会営業」「④飛び込み営業」この4つである。

 

この4つの方法を組み合わせて海外営業をする必要がある。但し、以前記述しているがしっかり準備を終わらせてから営業を開始する必要がある。

 

FOB価格やC&F価格での見積もりの用意、海外売掛取引対策、売買契約書の作成、英文の営業資料、添加物の海外対応、販売期限の海外対応、これくらいの準備を終わってから営業を開始する必要がある。

 

1つ目の「紹介営業」であるが、これはJETROや農水省のマッチング支援機能を使うというオーソドックスな方法もあるが、六本木にあるJETROの本部の海外部署にいる、かつてその国に駐在していた担当者に連絡してその国のディストリビューターの紹介を依頼するのが一番良いアプローチ方法である。

 

アジア各国なら「アジア大洋州課」に電話して該当国の担当者につないでもらうのが一番良いのだが、JETROの機能として各都道府県に事務所があるため、どこの県の企業か名乗ってしまうと、その県の事務所が窓口になってしまうことには注意が必要だ。

 

ターゲットとしている国の駐在を経験し人脈を作った人から直接話を聞きたいのに話を聞くことができないということが起こってしまう。上手にアプローチして本部の方にディストリビューターを紹介してもらうのが一番手っ取り早い。

 

メガバンクに紹介を依頼するのも良い。コンサルタントの方に紹介してもらうのも良い。しかし私がイオンモール在籍時に開いた海外展開セミナーで講師として登壇いただいたメガバンクの方々も海外コンサルタントの方も共通して言われていたことは「準備ができた会社には紹介するが準備ができていない会社には紹介をしない。そして、準備ができていなのに紹介を依頼する企業が非常に多いので紹介先はたくさんあるが紹介できる日本の企業は非常に少ない。」ということである。準備ができてない会社は紹介してもらえないのである。

 

2つ目の「EC営業」であるが、これは有料と無料がある。有料は有名がビジネスマッチングサイト「アリババ」がある。ただしアリババは有料であり、多くの食品ディストリビューターはアリババに登録していないことを考えると、食品メーカーが海外に大量に商品を売るのにはあまりお勧めはしない。

 

輸入食品を専業として販売するディストリビューターがこのサイトに登録しているという話はあまり聞かないからである。お勧めするのは、JETROが運営している「日本産農林水産物・食品輸出マッチングサイト」である「JAFEXJAPAN AGURICULTURAL & FOODSTUFF EXPORTS)」のシステムに登録することである。

 

こちらは無料である。英語版の海外営業資料やFOB価格やC&F価格の準備が完了したら登録しておきたい。またここに登録するとJETROから海外のディストリビューターを別途紹介してもらいやすくなる。各地で海外のディストリビューターとのマッチング会が開催されており招待してもらいやすくなる。

 

また、農林水産省もマッチング支援をしてくれる。「GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)」と検索してもらえればすぐに見つかる。ただし、ここで紹介を受けられるのは国内の輸出商社となる。

 

3つ目の「展示会営業」であるが、しっかり準備ができた食品メーカーには有効である。やみくもに出店するのではなく、海外のディストリビューターがやってくる展示会に出店したい。実は海外のディストリビューターはFOODEXよりスーパーマーケット・トレードショーに商品を見にやってくる傾向がある。そのため国内の展示会でも輸出対応の表示をしておきたい。

 

シンガポールで開催される「FHA (Food & HotelAsia )-Food & Beverage」などシンガポールと香港の展示会やドバイやフランスやドイツで開催される大型展示会も有望と聞く。

 

実は海外展示会の情報はJETROのホームページでまとめられていて、そこを確認すると便利である。「世界の見本市・展示会情報(J-messe)」と検索すれば見つかる。

 

4つ目の「飛び込み営業」が一番効果も効率も良いので、次回詳しく説明したい。

 


食品輸出、海外販路開拓、海外向け商品開発をテーマに、講演やセミナー行います。講師の出張派遣も行います。また個別コンサルティングについても、お気軽にこちらからお問い合わせください。



食品輸出 実務と実践塾を開催予定です。ぜひこちらからご確認ください。


食品の輸出や海外展開をご検討されているなら、まずは下記のE-BOOKをダウンロードいただき基本知識のインプットからスタートしてください。