食品新聞連載(15)
2020年1月22日掲載 1面です。
書き下ろし原稿は下記からご確認ください。
世界に自社商品を本格的に売るなら「誰に売るか?」「何を売るか?」そして「どうやって売るか?」ということを明確にする必要があると以前説明したが、今回からは『どうやって売るのか?』ということに特化して説明をしていく。
日本で成功している食品メーカーであっても海外販売がうまくいかないのは、ビジネスモデルが日本とは異なるからである。日本国内で「誰に」「何を」「どうやって」売っているのと、海外では「誰に」「何を」「どうやって」売るかは大きく異なるからである。
しかし、既存の工場の施設を使って商品を作れ、大きな海外市場に売るチャンスがあるのだから取り組まないのはもったいない話である。
「どうやって売る」というと売り方の方法は大きく分けて2つある。「日本国内の食品輸出商社に営業する方法」そして「海外のディストリビューターに直接営業する方法」の2つである。
今回は日本の食品輸出商社に営業する方法を説明する。
食品輸出商社とは、日本食品を海外のディストリビューターに輸出することを仕事としている企業である。輸出実務を依頼する先であるフォワーダー(乙仲)のことではなく、自ら輸出者(シッパー)となって、取引先である海外のディストリビューターに商品を紹介・提案し、実際に商品を日本で仕入れ海外に輸出販売している企業のことである。
この食品輸出商社だが、現在日本には200社以上あると言われている。食品卸が輸出事業に次々と参入してきており、数が増えている。
食品輸出業界には大手3社というのがある。最大手は100ヵ国以上に食品を輸出している。業界2位の輸出商社は欧米に強く約80ヵ国に輸出していて、業界3位でも70ヵ国に輸出していると聞く。
既に定期便のコンテナが流れているので、海外のディストリビューターが喜ぶ海外対応している商品を作れば、一気に20ヵ国や30ヵ国輸出することも可能である。
食品輸出商社は海外のディストリビューターから、いつも新商品を探すように言われているので、海外に対応した商品は大人気である。国内営業だけで一気に多くの国で定番化することも可能なのでぜひ挑戦してみて欲しい。
ただし、食品添加物や販売期限のグローバル対応をした輸出向け商品を作り、輸出用の営業資料を準備していかないと商品登録はしてもらえない。
国内営業できる食品輸出商社のリストアップする方法だが「食品輸出商社」「食品輸出企業」「輸出企業 食品」などで検索して探す方法もあるが、ジェトロが専用サイトを設けている。「ジェトロ農林水産物・食品 輸出協力企業リスト」と検索すれば簡単に見つけられる。
このページに約100社の食品輸出商社が記載されているので、海外用の商品の開発ができていれば、すぐにアプローチをかけることができる。
食品輸出商社へのアプローチ方法であるが、まず、電話をかける。輸出用に開発した商品があることを説明する。食品添加物を海外対応し、販売期限も長い、英語の表記も入れている、更に安いとなれば絶対に喜ばれる。
商品と会社をアピールして、メールを送る旨を伝え、メールアドレスを聞き、営業メールを送るのである。そして輸出用に必要な情報を記載したEXCELファイルを送るのである。
輸出営業をする際には必ず必要となる情報がある。その情報がないと取り合ってもらえない情報がある。それは、食品輸出商社がFOB価格やC&F価格を算出するために必要な情報であり、英語情報である。具体的にはこの8つの情報が必要となる。
①商品名(日本語・英語)②JAN③荷姿の縦横高さのcm④荷姿のm3⑤荷姿のKG⑥販売期間⑦製造都道府県⑧商品写真である。
「日本食品を世界で売る会」のサイトではEXCELシートも無料で公開しているのでぜひダウンロードして確認して欲しい。そのフォームを使って初回商品提案をして大丈夫か、大手食品輸出商社やディストリビューターにも確認したが、初回提案の際の情報としては十分だと言われているEXCELシートである。
EXCELシートである理由は転記しやすいからである。食品輸出商社やディストリビューターが顧客に情報を転記しやすいようにEXCELシートで送るのである。
そしてメール送ってからアポイントを取って、サンプルを持って営業に行くか商品を送ってから再度電話をするのである。
そうすると食品輸出商社は興味があれば食品添加物情報(INS番号)や製造工程の情報が記載された指定のシートの入力を求めてくるのである。
1点だけ注意することがある。一部の食品輸出商社は商品が魅力的だと囲い込みをしてくる場合がある。全世界への輸出総代理店になりたがるのである。この申し出にはNOと答える必要がある。
ベストの回答は「一部の国は自社で直接取り組むので、国毎に代理店について検討させていただきたい。」と回答し、ディストリビューターを何社も置いて強く攻めたい国は自社でディストリビューターに営業をするのである。
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